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2006 年度 実績報告書

大河川起源の淡水流入が大スケールの閉鎖性内湾の水環境や生態系へ与えるインパクト

研究課題

研究課題/領域番号 18560500
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

矢野 真一郎  九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (80274489)

キーワードエスチャリー / 水質 / 生態系 / 沿岸域 / 物質輸送
研究概要

筑後川から有明海に流入した淡水の挙動を把握するために,GPS付き漂流ブイを利用したLagrange的観測を実施した.河川流量が平常時(64m^3/s)の2006年6月7日と,中規模出水時(1,678m^3/s)の同年7月21日に現地観測を実施した.観測項目は,淡水塊の挙動(座標),流速,成層構造(塩分・水温),水質(濁度・クロロフィルa・pH),乱流微細構造,風向・風速である.観測は一潮汐間(約13時問)にわたって連続的に行った.両観測で得られた主な結果は,(1)通常時は淡水塊が一潮汐後に筑後川河口周辺まで戻るが,出水時には佐賀県沖まで移動し,両者で明確な差異が確認された.(2)両観測において淡水塊に働く力学的なバランスを調べたところ,河川流量により河口から海域へ突入する初期運動量が大きく異なることが,その後の挙動にも大きく影響していた.すなわち,コリオリカの作用が大きく異なるため,淡水塊の輸送に強い影響を与えたようであった.(3)河川流量が大規模出水になれば,諫早湾へ直接淡水塊が流入する可能性が示唆された.これは,北部有明海の水質や生態系に対し,筑後川の流量変化が強い影響を与え,それらの構造の支配要因となることを意味していると思われる.
また,現地観測データをとりまとめるに当たって,地理情報システム(GIS)を使用し,データベースの作成を試みた.これまでに蓄積されている種々の観測データ群をGIS上に整理し,有明海の水環境状態についてゾーニングを行った.成層状態と赤潮の発生状況の間の統計的な関係性などが整理できた.本研究により得られたデータを作成されたデータベースに統合することで,筑後川起源の淡水が有明海の海域毎に与える影響を統計的に評価できる準備が整った.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] 現地データに基づく島原半島沿岸域の流動に関する検討2007

    • 著者名/発表者名
      重田真一ら
    • 雑誌名

      平成18年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集

      ページ: 283-284

  • [雑誌論文] 筑後川から有明海に流入した河川水の挙動に関する現地観測2007

    • 著者名/発表者名
      宮原明子ら
    • 雑誌名

      平成18年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集

      ページ: 287-288

  • [雑誌論文] GISを用いた有明海水環境データベースの構築と環境変化の一考察2007

    • 著者名/発表者名
      矢野真一郎ら
    • 雑誌名

      海洋開発論文集 23(in press)

  • [雑誌論文] 漂流ブイを用いた島原半島沿岸の物質輸送に関する観測2006

    • 著者名/発表者名
      重田真一ら
    • 雑誌名

      平成17年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集

      ページ: 195-196

  • [雑誌論文] 漂流ブイを用いた表層流観測による島原半島沿岸の物質輸送機構の検討2006

    • 著者名/発表者名
      齋田倫範, 矢野真一郎ら
    • 雑誌名

      日本流体力学会年会2006講演要旨集

      ページ: 1-4

  • [雑誌論文] 漂流ブイを用いた島原半島沿岸海域の物質輸送に関する現地観測2006

    • 著者名/発表者名
      齋田倫範, 矢野真一郎ら
    • 雑誌名

      土木学会第61回年次学術講演会講演概要集

      ページ: 201-202

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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