研究概要 |
本年度は以下に示す主として2項目の研究を実施した. 1.地物データGISモデルを用いた洪水氾濫浸水予測モデルの構築に関する研究 対象流域の観測データとして,河川水位,河川への下水道からの流出量,降雨時の道路冠水状況などのデータを収集し,氾濫浸水予測モデルの未知パラメータの同定資料とした.次いで,ベクトル形式の1/2500数値地図データ(国土地理院発行)から雨水流出・洪水氾濫浸水予測に用いるデータを効率よく抽出するためのデータ作成システムを構築した.そして,雨水流出・洪水氾濫浸水予測モデルのデータ構築手法について,水文・水理データ上の観点からその問題点を明らかにした.さらに,本研究課題で提案している雨水流出・洪水氾濫浸水予測モデルを,東京都内の神田川支川である江古田川(流域面積5km^2弱)を対象にプロトタイプのモデルを構築し,過去の豪雨水害の生じたイベントに対して雨水流出・洪水氾濫浸水の再現可能性を確かめた. 2.実時間洪水予測モデルの構築に関する研究 全国的にも豪雨災害が頻発した2004年を対象に,東京都でも浸水被害の頻発した神田川流域の降雨・河川流量データを,東京都が独自で高密度(約4km間隔)に設置している地上雨量計からの1分間隔降雨観測データとして抽出した.河川流量データに関しても同様に1分間間隔水位データを河川流量に換算した.次に,一般化貯留関数のパラメータとして平均的な値を用いた場合およびパラメータを大域的探索法(GA法やSCE-UA法など)により最適にチューニングした場合の流量予測を行いその予測精度を評価した.さらに,本来の一般化貯留関数法を都市流域の中小河川に精度良く適用できるよう一般化貯留関数法の修正・改良を検討した.
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