研究概要 |
海岸法の改正に伴い海岸保全施設としての「砂浜」の安全性の確保が重要になっている.「砂浜」の信頼性や安定性を評価するための指標等が提案されていないのが現状である.養浜マニュアル(土木研究センター2005)では,人工海浜を構成する底質粒径は対象海岸の中央粒径,あるいは含有率の最も高い粒径以上の大きさの粒径が必要とされているが,ましてや,本研究のようにF層を有する「砂浜」の安全性(陥没に対する安全性ではない)に関してはほとんど議論されていない. 本研究ではF層の砂礫の種類やその設置位置等を変化させ,潮位と波浪条件を変化させ規則波や不規則波作用化の岸沖漂砂による海浜縦断面の変化を調べ,断面の可逆・非可逆性と砂礫の表面へ露出の観点から海浜の安全性を検討した.また、海岸の利用や快適性の観点から現地海岸の砂浜の歩き易さ、強熱減量の分布を調べた。さらに画像による底質特性分析方法を現地や室内実験に適用し,現地の粒度を広域的にGPSを用いて短期間で計測した。不規則波による数値モデルによる検討も行った.混合粒径で構成されている現地海岸の過去40年間の衛星写真を用いて地形変化の分析も行った。 不規則波の場合、フィルター層の透水性が低下すると底面が露出する事があり、設置深を深くする必要があるが、規則波と同様に侵食作用を低減させ、堆積作用を促進させることが明らかとなった。 衛星写真と現地で実施した画像による粒径分析結果から、当該海岸では過去40年間においては著しい海浜変形は生じていないことが判明した。しかしながら、飛砂による影響が冬期から春先にかけて生じている可能性が風速計測と底質との関係から明らかになった。
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