研究課題/領域番号 |
18560510
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島商船高等専門学校 |
研究代表者 |
水井 真治 広島商船高等専門学校, 商船学科, 教授 (50249843)
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研究分担者 |
日比野 忠史 広島大学, 大学院・工学研究科・社会基盤システム専攻, 助教授 (50263736)
永井 紀彦 港湾空港技術研究所, 海洋水工部, 部長 (00359233)
富田 孝史 港湾空港技術研究所, 津波防災センター, 主席津波研究官 (20242836)
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キーワード | 瀬戸内海 / 異常潮位 / 濃霧 / 船舶運航の障害 / 超音波式潮位計 / 海水温度 / 潮流 / 気象海象観測 |
研究概要 |
瀬戸内海は従来から静穏な海域であるとの一般認識により、混雑した海域の安全性という以外の観点から船舶運航に関する問題点があまり議論されていないように思われる。しかし、船舶の運航実務者を対象に実施したアンケートを分析したところ、潮位(異常潮位を含む)、潮流、濃霧、風波によって船舶が運航困難となる現状が把握された。この背景より、本年度はまず瀬戸内海に位置する大崎上島での気象海象の連続観測を実施するシステムを構築し、1年間〜2年間のデータにより、潮位観測システムの改良および濃霧発生の状況との相関調査を実施した。 潮位の連続観測を実施するにあたり、空中発射式の超音波潮位計を設置したが、当該潮位計は安価で設置が容易である反面、空中での超音波信号の処理にノイズが混入することによる誤差、超音波が伝播する空間をシールドした鐘管内の温度が極めて不均一になることの測定誤差への影響が問題点として残されていた。本年度はまず当該潮位計による連続観測によるデータ蓄積、さらに水圧式潮位計による同時観測によるデータ比較を実施した。これより、潮位差が大きな瀬戸内海において、当該潮位計と水圧式の誤差は標準偏差で5cm程度ということが明らかになった。この原因として考えられる管内温度をモニタリングしたところ、管内の鉛直温度分布が極めて不均一であることが分かり、3〜4本の較正棒を挿入する必要性が確認された。さらにノイズが混入する反射信号の処理において、ノイズのパターンを識別した上でゼロ点をこれまで以上に正確に判定できるプログラムを作成した。これにより、測定誤差がかなり低減できることが確認され、実用化に向けての方向性が確認できた。 濃霧の問題については、過去数年間のフェリー会社の欠航記録を整理し、春〜夏の時期で早朝あるいは夕方に集中していることが分かった。これをもとに水温、気温、湿度、塩分を大崎上島付近で連続観測し、長期的および短期的な変動傾向を整理した。これより、湿度だけでなく、海水温度と気温の関係、特に海水温度が複雑な潮流に影響されている可能性を見出し、これが濃霧発生と深い相関があることをさらに次年度以降の研究にて検討していきたいと考えている。
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