本研究では、(1)人口流動・交流人口・産業構造から捕らえた自然共生地域の類型を行い、(2)当該地域を対象とした国土管理上の施策効果(質的転換効果)を把握するための人工社会モデルの構築を行って、(3)このモデルを用いて、自然共生地域を対象とした国土管理上の施策の有効性を把握した。 具体的な成果は以下のとおりである。 (1)に関して、国土交通省が作成した総合交通分析システムと農業センサスデータの統合を行い、産業構造・生活施設配置・アクセシビリティなどから自然共生地域の類型を行った。 (2)に関しては、産業構造・生活施設配置・アクセシビリティを政策変数に取り上げて、自然共生地域の定住・交流人口の変化を把握できるモデルを構築して、施策効果とその発現速度から施策の有効性を評価した。モデルとして、「生活圏域」と「自然共生地域」の階層原理を空間的に記述できるマルチエージェントシステムを用いた人工社会モデルを構築できた。 (3)に関して、階層原理のモデル化を構築し、1Kmメッシュで構成された地域ブロックが、個別産業集積や生活関連施設整備によって導かれる人口変容によって、時系列的に変化してゆく状況を、「地域ブロック」・「生活圏域と自然共生地域」という階層構造の中で捕らえて、地図上に再現することを行なった。
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