研究概要 |
(1)様々な事例を調査分析することによって、歩行者・自転車系交通の交通特性と挙動特性を把握し、以降の分析の基礎データを収集・整理し、考察した。道路構造や路面状況、沿道条件、交通量によって、歩行者と自転し車の現実の通行状況は様々である。したがって、すれ違いや追越しに関しても、様々な場面が見られる。沿道に店舗がなく、通過交通のみで交通量がそれほど多くない場合には、歩行者と自転車の通行位置が左右どちらかの一方にそろっていれば、比較的スムーズな交通が確保されている。しかし、通行位置が左右に混在していると、交通量が少なくても自転車は蛇行するようになり、交通量が多い場合には錯綜するようになる。沿道に店舗があり沿道へ出入りする歩行者や自転車があると、通過交通とアクセス交通の錯綜が発生する。歩行者だけでも錯綜するが、これに走行する自転車が加わると接触する危険な状況が起こりうる。 (2)収集・整理した既存研究・文献と上記で調査分析した交通・挙動特性から、四つの観点(道路形態・幅員、地区特性、利用者属性、交通変動特性)に留意し、歩行者・自転車系交通のタイプ分類を行う際の留意項目を整理した。また、歩行者や自転車のための道路の整備理念に関して、移動することの意味を考えることの重要性を指摘し、これとコンパティビリティに基づいた道路の新しい機能づけを提案した。 (3)共存性の論点を再整理し、「交通手段・利用者」「道路空間」「交通制度」が連動した歩行者・自転車系交通共存方策の試案を作成した。今後の自転車通行帯整備として、〔自転車通行帯が設置された歩道〕、〔自転車道〕、〔自転車道に自転車通行可の歩道を併設〕の3タイプを提示した。〔自転車道に自転車通行可の歩道を併設〕は、自転車を強い自転車(速度が速い,健康な大人)と弱い自転車(子供、高齢者)に分け、強い自転車は自転車道又は車道とし、弱い自転車は歩道上に通行帯を置くものである。
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