平成20年度は、交通アセスメントと土地利用誘導をわが国の都市行政に導入する際の課題を明らかにし、実務的に利用可能な手法として「集積誘導地域」の設定方法を提案した。また、平成18年度は大店立地法の交通アセスメントに、平成19年度は都市計画法の集積誘導地域に焦点を当てて、問題の明確化を図ってきたが、わが国の特に地方行政に適用可能な手法について整理した。研究は以下の4つのステップからなる。 (1)交通行政における交通アセスメントの役割の整理 道路混雑の緩和に対しては道路管理者、交通管理者をはじめ様々な行政機関が関連している。ここでは交通アセスメントを実施する際の交通行政の役割について言及する。具体的には現在の実施体制を把握し、どのような改善が可能かについて提案する。 (2)都市計画行政からみた交通アセスメントと土地利用都市計画の視点から交通アセスメントを定義し、土地利用計画との関連性を明確化する。特に土地利用と交通の相互関連性に着目して、土地利用誘導の考え方を整理した。 (3)実在都市への適用による集積誘導地域の設定 研究対象地域として宇都宮市を対象に、集積誘導地域の評価指標を設定し、今後の商業集積が望ましいエリアをGISソフトの活用によって算出した。 (4)実務的な運用可能性の検討3ヵ年の研究成果をもとにこれまでの知見を整理し、交通アセスメントにおける問題点と土地利用誘導における課題をまとめ、その対策について提案する。
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