研究概要 |
前年度に得た,トンネル内の多重衝突事故データとその基礎分析を基に,多重衝突事故が発生するメカニズムを表現可能なモデル(潜在多重ハザードモデル)を構築した.この際,衝突事故の規模について回避度合いと同次元で定量化するために仮想停止車間距離という新たな指標を導入し,その指標を活用した分析から,前方車両の事故が後続車両へ波及する様子を表現可能な事故規模の推定モデルを作成し,交通環境と多重衝突事故発生の関係を定量化した.さらに,このモデルを活用し,簡易なシミュレーション分析を行うことによって,3台以上の多重衝突事故を模擬し,その発生確率,また交通環境変化が多重衝突事故の発生確率に与える影響を考察した.被験者については,学生-高齢者の組み合わせ時には多重衝突事故に発展する確率が最も高かった.また,運転時に注意を散漫にすることなく確実に覚醒水準の低下を知らせ,運転者自身でそれを上昇させられるフィードバック方法はどのようなものかを検討し,都市内地下道路を想定して,自身の生体反応(覚醒水準)をフィードバックさせる実験を行ない,その効果を観測した.その結果,運転者によって眠気を感じる覚醒水準の数値が異なり,それを予め測定して,運転者にとって眠気を感じる前の覚醒水準の数値を設定する必要があることが確認された.運転者が眠気を感じる前に覚醒水準が低下していることを知らせることで,その低下を抑え,維持させられることが明らかになった.運転者が眠気を感じた後に知らせても効果が得られず,眠気を感じる前にその兆候を捉え,知らせるバイオフィードバックシステムの有効性が示される結果となった.覚醒水準の低下を知らせる警告の方法としては,画面表示,音の単独より,その両方を組み合わせたほうが効果が得られることがわかった.
|