研究概要 |
平成18年度は,収益管理に関わる具体事例について,(1)コインパーキング,(2)国内航空,(3)高速道路などを中心に幅広くレビューをした.(1)については,過去の実績データから,収益最大化の弾力的な料金施策の効果を,一般的なRevenue Management(RM)手法で計測することを試みた.しかし,行動分析を援用するデータが不十分であるため,実用化に向けた改善の余地があることが確認された.(2)は,航空動態調査(国土交通省)を用いた「券種選択モデル」を構築し,交通行動分析手法をRM手法に組み合わせる方法論を開発した,各種の航空政策や需要条件変化に対応するエアラインのRM施策について簡単な考察を行い得た.(3)は,ここ数年全国各地で実施されている高速道路料金割引に関する社会実験に着目した.まず,同社会実験の実施状況についてネットなどを用いた検索を行い,その結果や問題点について整理を行った.その結果,ほとんど効果が発現しなかった実験も,大きな交通量変動を伴った実験もあり,料金(RM)施策を考慮する上で示唆に富む報告がなされていることが分かった.それらの知見をふまえ,数カ所の実験に関わる高速道路の利用実績データを用いることにより,料金変化に対応する交通行動変化(利用インターチェンジの変更など)を集計分析で明らかにした,平成19年度には,非集計行動モデルを適用するデータ解析の方法論を検討する予定である. 平成18年度成果を概観すると,当初の予定通り,幅広いRM適用対象を実データにより明らかにする目標は概ね達成することができたと考える.(3)の高速道路利用については,本来,平成19年度に実績データを収集する予定であったが,18年度より,その作業に着手することができた.(1),(2)は,一定の成果を得ることができたので,平成19年度は高速道路実績データの解析による料金RM施策について深く追求していきたい.
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