研究概要 |
平成19年度は高速道路の料金施策に関する社会実験結果を用いて,料金変数を組み込んだ高速道路選択モデルを構築した.用いたデータは,全国全ての高速道路区間の実績値が把握可能な業務データである.具体的には,業務データより,社会実験前後の車種別交通量を集計し,「交通量差-料金差」から集計ロジットモデルを推定した.推定結果より,パラメータ値は妥当な範囲に収まることを確認した.さらに,推定モデルを「一般道-高速道路」選択モデルとして用いることより,一般道も含めたOD交通量を逆推定する方法を提案した.一般道も含めた実績値との比較から,同方法が実用上,問題のない結果であることを確認した.本方法は全区間の高速道路実績が把握可能な業務データを用いているため,あらゆる社会実験の結果を同様の方法でチェック可能であり,実用性や,広範な適用性から十分な意義を有すると考えている.また,推定されたモデルを用いて,道路料金体系を変化させたときの需要量変化,すなわち高速道路に関するレベニュー・マネジメント分析を行い,車種別,距離帯別料金の影響を感度分析することができた.データ取得から,モデル構築,そして施策分析と,一連の解析手順を,適用性や応用性の高い方法論として提示できたと判断できる. 平成19年度は,研究の最終年度でもあり,平成18年度の航空を例にしたレベニュー・マネジメント分析もあわせて,交通分野における同方法の適用性や,今後の展開についてまとめた.
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