福祉移送サービスは福祉有償運送として法的に整備された。これにより、わが国の移動・送迎サービスは大幅に伸び、高齢者・障害者等の移動困難者の地域での移動が確保されることになる。しかし、法的に移動・送迎サービスが整備されても様々な問題が生じている。その一つに「安全性」という問題が存在している。それらは2種免許の問題による運転の安全面、シートベルト等の安全装置に関する法的な基準がないこと、介護時に発生する介護事故等である。このような問題が存在しているものの移動・送迎サービスの事故等はほとんど把握できていない。今後、誰もが移動しやすい交通環境を整えるためには、NPO等の移動・送迎サービスの発展が不可欠であり、これらの問題を解決することが重要である。つまり、事故調査は急務の課題である。 本調査では、NPO等の移動・送迎サービスを行っている団体にアンケートを配布し、事故の件数、種類、ヒヤリ・ハットを調査した。その結果を以下に示す。 ・研修については、ほとんどの団体がなんらかの研究を実施・受講している。その中でも他団体(地域ネットワーク団体)による研修の受講が半数以上である。 ・過去1年間の事故経験は、約2割の団体が有りと回答し、34件が報告された。その内容としては、「対物事故」、「運転中の事故」と車両に関する事故が多く、介助事故は報告されていない。 ・ドライバーは男性が約7割で、経験年数は約4年であった。資格の有無については、持っている人が6割以上存在し、そのうち7割の人がホームヘルパー2級を持っている。 ・ドライバーが経験したヒヤリ・ハットは286件報告され、半数以上のドライバーが経験している。 ・ヒヤリ・ハットの内容は、自動車事故の可能性に関するものが多く、急ブレーキなどによる利用者の転倒の危険性についても報告されている。 ・車両事故件数の推定において、移動・送迎サービスは年間の走行距離は短く事故にあうリスクは低い。
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