本研究では、まず埋立中で準好気性構造を持つ最終処分場及び準好気性構造は持たないが、打ち込み型のガス抜き管の新設を行い、安定化の促進を行っている埋立が終了した最終処分場において、設置されたガス抜き管を使って内部温度の実測を行うとともに、処分場に設置されたガス抜き管を使って埋立ガスの成分調査を行った。その結果、準好気性構造を持つ廃棄物最終処分場では、ガス抜き管内部温度が最高40から55度に達し、好気性反応が進行していることが確認できた。また、それらのガス抜き管内部では嫌気性反応を示すメタンガスも検知されており、ガス抜き管近傍で好気性反応領域と嫌気性反応領域が混在していることが推察された。一方、準好気性構造を持たないが、新たなガス抜き管が設置された廃棄物処分場では、ガス抜き管内部温度が最高45度に達し、好気性反応が進行しているものもあったが、大半のガス抜き管内は温度が低く、かつ高濃度のメタンガスが検知され、嫌気性反応が進行している状況であることが確認できた。このことから、打ち込み型のガス抜き管が設置された直後の状況では、好気性反応が誘発される状況には至っていないと予測された。 次に、新たなガス抜き管が設置された廃棄物処分場において、ガス抜き管の設置により、内部のガスの排除効果を検討するため、3次元のガス流動モデルによるシミュレーションを行った。その結果、半径20m以内の流動ガスの50%が埋立ガス抜き管を通して排除できることがわかり、さらにその周囲にグリ石を設置して、流動性を高めると、より効果的な埋立ガス排除が行えることがわかった。 上記の成果を通して、準好気性構造を持たない不適正廃棄物最終処分場において、単なる打ち込み型のガス抜き管でなく、ガス抜き管底部が空気が流通しうる集水管と接続され、準好気性構造を再現できるようなガス抜き管の設置が必要であることがわかった。
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