本研究では、準好気性構造を持つ埋立中の最終処分場A、そして準好気性構造は持たないが打ち込み型のガス抜き管の新設を行うことで安定化の促進を行っている埋立が終了した最終処分場Bにおいて、設置されたガス抜き管を使って内部温度、埋立ガス成分、内部水位の調査を行った。その結果、最終処分場Aでは、処分場中心部に位置するガス抜き管内部温度が最高45から58度に達し、平成18年度に引き続き好気性反応が進行していることが確認できた。一方、最終処分場Bでは、一部のガス抜き管において、内部温度が最高60度に達するとともに埋立ガス成分は酸素8%、炭酸ガスが12%、メタンガス3%となり、活発な好気性反応が進行していると思われるものもあったが、大半のガス抜き管内は温度は25度未満でかつ埋立ガス成分に10%以上のメタンガスが検知され、嫌気性反応が進行している状況であることが確認できた。このことから、2年にわたった観測の結果でも、打ち込み型のガス抜き管全体で好気性反応が誘発される状況には至っていないと予測された。好気性反応が進行していると思われるガス抜き管内での深さ方向に10mの範囲の温度及びガス成分分布を測定したところ、深くなるにつれて酸素濃度が減少するとともに、メタンガス濃度が増加していた。このことから、ガス抜き管上部から酸素が侵入し、微生物反応により消費されて、深いところで酸素濃度が減少していると予測された。 次に、最終処分場Bにおいて観測された内部温度と埋立ガス成分について、熱移動・拡散シミュレーションを行った。その結果、ガス抜き管上部で好気性反応が進行することによる温度上昇と埋立ガス成分のメタンガスと炭酸ガス濃度がガス抜き管底部になるにつれて大きくなることが再現できた。また、ガス抜き管底部から空気を流動できる構造にすると、好気性反応のエリアが広がり、メタンガス濃度が減少することがわかった。
|