本研究では、準好気性構造は持たないが打ち込み型のガス抜き管の新設を行うことで安定化の促進を行っている埋立が終了した最終処分場において、約4年前から設置された89本のガス抜き管を使って内部温度、埋立ガス成分の調査を行った。その結果、一部のガス抜き管において、内部温度が最高60度に達するとともに、埋立ガス成分中のメタンガス濃度が低下し、炭酸ガス濃度が上昇していた。これは活発な好気性反応が進行していたと思われる。その後このガス抜き管内の温度低下並びにガス成分が空気組成になっていた。このことから、ほぼ安定化したものと考えられる。しかしながら、大半のガス抜き管内は温度は25度未満でかつ埋立ガス成分に10%以上のメタンガスが検知され、嫌気性反応が進行している状況であった。したがって、4年にわたった観測の結果でも、打ち込み型のガス抜き管全体で好気性反応が誘発される状況には至っていないが、好気性反応が進行していると思われるガス抜き管は特に処分場内の斜面部に位置しており、水平方向の酸素侵入が影響を与えている可能性があることが示唆された。次に、ガス移動・拡散シミュレーションを行った。その結果、直径20cmのガス抜き管が半径方向に約10mまでの範囲のガスを集める効果があり、廃棄物層内部のガス排除効果が大きいことが確認できた。また、ガス抜き管上部で好気性反応が進行することによる埋立ガス成分中のメタンガス濃度低下と炭酸ガス濃度増加がガス抜き管底部になるにつれて顕著になることが再現できた。 海外研究シンポジウムを通じて知見を得た欧米での空気導入による安定化手法に比べ、準好気性構造は動力エネルギーを必要とせず、安定化促進効果は限定的であるものの経済的であることから、不適正廃棄物処分場の多い日本及び東南アジアでの導入のメリットが高いことが示唆された。
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