研究課題/領域番号 |
18560530
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津野 洋 京都大学, 工学研究科, 教授 (40026315)
|
研究分担者 |
山田 春美 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40089123)
永禮 英明 京都大学, 工学研究科, 講師 (60359776)
日高 平 京都大学, 工学研究科, 助手 (30346093)
|
キーワード | L-乳酸発酵 / 模擬生ごみ / 半連続式培養 / 高温酸発酵 / 中温酸発酵 / 微生物群集解析 / 乳酸収率 / 光学純度 |
研究概要 |
非滅菌条件において2倍希釈した模擬生ごみを基質に、半連続式培養により高温(55℃)および中温(37℃)酸発酵を実施した。その結果、高温酸発酵ではpH5〜6および水理学的滞留時間(HRT)20〜3日(COD負荷率5.2〜34.4g-02/L-Reactor/日)の条件により、長期間にわたり安定して90%以上の光学純度を有するL-乳酸が生成できることを見出した。また、pH6条件下では、乳酸濃度と乳酸収率がそれぞれ32g/Lと0.58以上(生成乳酸量/基質糖質量[-])となること、光学純度93%以上が安定して得られること、および基質中にあらかじめ存在する乳酸を考慮(排除)して求めた生成乳酸に対する光学純度では96%以上が得られることを示した。また、L-乳酸発酵を担う菌種(L-乳酸菌)についてその由来と同定を検討した結果、16S rDNAを利用した微生物群集解析によりL-乳酸菌はBacillus coagulansと同定され、自然環境を含む生ごみ由来であることが確認された。生ごみ負荷率との関係では、HRTが10日から3日へ減少する(負荷率が増大化する)に従い、光学純度が92.8%から94.5%へ向上し、乳酸収率が0.73から0.58へ減少し、乳酸以外の有機酸に対する乳酸の選択性(COD基準)が97.0%から93.5%へ低下する傾向が見られた。pH調整剤の検討として、55℃、pH5.5の培養条件下で、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムのいずれを用いても継続的に乳酸発酵を行えることが示された。また、集約的に排出される可能性のあるバナナ果皮に着目した実験も行った。バナナ果皮は、単独ではL-乳酸菌の増殖に栄養素が不足しているため、窒素源や、特にアミノ酸を供給できる補材料を混合することで、容易に資化することができ、長期的にも安定してL-乳酸発酵が行える廃棄物であると考えられた。
|