硫黄の酸化還元サイクルを活性化させた新規下水処理システムの適用性を拡大する一つの手段として、低温廃水処理に適用し、その処理性能を評価した。また、その処理槽内に構築された微生物構造解析を、クローン解析及びFluorescence in situ hybridization(FISH法)を用いて明らかにし、Real-Time PCR法を用いて優占菌種の定量を行った。本研究で用いたラボスケールリアクターは前段にUpflow Anaerobic Sludge Blanket(UASB)、後段に散水ろ床を設け、飛行場から排出される不凍液廃水を供給した。本システムは10℃以下の低温状況においても良好なCOD除去率を示した。UASB汚泥に対するクローン解析の結果、UASB内は極めて単純な微生物構造であることが判明し、その中でAcetobacterium属、Desulfobulbus属が優占して存在した。FISH解析の結果、DAPI染色に占める細胞の割合はAcetobacterium属が約10%、Desulfobulbus属は約14%であった。UASBから定期的にサンプルを採取し、Real-Time PCR法を用いてAcetobacterium属とDesulfobulbus属の定量を行ったところ、Acetobacterium属は10^<1~6>copies/ng-DNA、Desulfobulbus属は10^<2~4>copies/ng-DNA存在することが判明した。
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