研究概要 |
きのこ栽培後には使用済み菌床(廃菌床)が発生する。本研究では、まず廃菌床を用いた作物栽培試験を実施した。焼酎粕添加培地廃菌床と通常使用されるフスマや米ぬかを添加した培地の廃菌床を粉砕し、土壌に混合してコマツナを栽培し、生育等を調査した。試験区は化学肥料でN、P、Kそれぞれ150mg/pot施用した化学肥料区を対照とし、焼酎粕添加廃菌床でNの施用量を合わせた焼酎区、その施用量を2倍・4倍とした焼酎2倍区・焼酎4倍区、フスマ等を添加した廃菌床でNの施用量を合わせたフスマ区、その施用量を2倍としたフスマ2倍区を設けた。 コマツナ地上部の生育は化学肥料区で最もよく、次いで焼酎4倍区>焼酎2倍区>焼酎区>フスマ区>フスマ2倍区の順となった。フスマ2倍区では発芽の遅れがみられ、収穫期には下位葉の葉色がやや薄くなり窒素不足の症状がみられた。焼酎粕を添加した廃菌床は、窒素施用量で4倍程度増施すれば化学肥料と同等の生育を示した。 焼酎粕添加廃菌床は、通常使用される基本培地廃菌床に比べて農地還元する場合に肥料効果が高く、問題が少ないことが明らかになった。 つぎに廃菌床の成分分析を行い、家畜飼料としての利用可能性を探った。その結果、廃菌床は,粗蛋白質が乾物中16%と高く、フスマと同程度の数値を示した。また、繊維成分である粗繊維、ADFおよびNDFが高く、粗飼料的な特性を含んでいることが明らかとなった。ADFは消化性と、NDFは乾物摂取量と負の相関があることが知られており、このことから、廃菌床自体の消化性や採食性は低いと推察された。しかし、カリウムについては、乾物中1.2%程度と粗飼料や大豆粕,フスマ、焼酎粕より低く、低カリウム飼料として利用できる可能性が示唆された。最後に、焼酎粕培地及び慣行培地の材料費を調査し、焼酎粕培地は慣行培地よりも材料費を20〜40%程度削減できることが示唆された。
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