現在、欠陥住宅が社会問題になっている。欠陥住宅の72%が地盤の不同沈下や基礎工事の不備に起因しているという報告もある。「ゴミ、ガラ、大木の根の掘り取った跡、池を埋めた跡、地中のコンクリートの巨塊など」も不同沈下の要因である。しかし、従来の地盤調査法では、宅地平面上の点が調査対象であり、宅地に伏在している局所的な軟弱地盤等を把握できないケースがある。そこで、本研究は、宅地全体における3次元表層地盤の不均一性を簡便に評価する手法を開発することを目的としている。平成19年度は、3次元FEM解析で局所的不均一地盤が波の到来方向およびレイリー波探査における分散曲線に及ぼす影響を検討した。3次元FEMは高さ15m、半径15mの半円筒形の1/2モデルとした。解析モデルは2層とし、表層地盤の層厚は2.25m、下層地盤の層厚は12.75mである。不均一地盤モデルでは、局所的に表層の上部1.5mのS波速度を50m/sまたは200m/sとした。主な結果を以下に示す。 加振源と観測点の間に局所的不均一地盤の境界がある場合、平成18年度に行なった実験結果と同様に、波の到来方向は加振源の方向と大きく異なった。この傾向は、局所的硬質地盤よりも局所的軟弱地盤で顕著であった。そのメカニズムを検討したところ、局所的軟弱地盤で波が増幅するため、局所的軟弱地盤の境界部分で波の伝播の乱れが大きくなることが分かった。 レイリー波探査において、局所的な軟弱地盤とその周囲地盤にまたがってセンサーを配置した場合、計測された分散曲線を水平成層構造の理論分散曲線で説明することが難しいことが分かった。また、加振源と観測点の間に局所的軟弱地盤が存在する場合、計測された分散曲線は、軟弱地盤の影響を受け、必ずしもセンサー直下の地盤特性を反映するとは限らないことが分かった。
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