研究概要 |
本研究では、RC造基礎梁に定着されたアンカーの構造性能(支持耐力、抜出し性状および破壊性状)を実験的に把握することを目的としている。ここでは、梁幅が120、150mmの薄厚RC梁に、定着機構の異なる種々のアンカーを定着し、RC梁の曲げ・せん断実験を実施し、耐力、変形および破壊性状を把握した。実験に用いたアンカーは、180°フックおよびプレート等の支圧抵抗による定着機構を有するもの、異形鉄筋等の付着抵抗による定着機構を有するものとした。 実験は、1)アンカー形状、へりあき寸法の違いが、アンカーの耐力および破壊性状に及ぼす影響を把握することを目的としたシリーズ(8試験体)、2)アンカーの埋め込み長さの違いが、アンカーの耐力および破壊性状に及ぼす影響を把握することを目的としたシリーズ(6体)の2シリーズに関して実施した。 本実験範囲内において以下の知見を得た。 (1)アンカーの引抜き耐力は、へりあきの状態、アンカーの形状を考慮した破壊モード、さらに梁の応力状態を考慮した方法により評価する必要がある。 (2)異形鉄筋のアンカーの引抜き力に対する抵抗は付着力であり、耐力が上がるにつれ、付着抵抗に有効な区間が付着力の喪失とともに上部から下部へ移る。 (3)直棒部分が丸鋼であり、定着部分がプレート型およびフック型のアンカーの引抜き力に対する抵抗は、丸鋼の付着力が喪失した後は定着部の支圧力により抵抗する。 (4)へりあき寸法がアンカーの直棒部分の平均付着応力度に及ぼす影響は,異形鉄筋では顕著であるが丸鋼では顕著でない。 (5)定着部の抵抗力と抜出し量の関係は,定着部の形状により大きく異なる。
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