研究課題
基盤研究(C)
本研究は、建築基準法令で想定する「極めて稀に発生する地震動」のレベルを上回る「極大地震動」に対しても、建築物の損傷を低減し得る「浮き上がり機構を活用したフェールセーフ構造」を提案し、その性能評価法を検討するものである。平成18年度は、以下の研究を行った。(a)浮き上がり時の振動性状に関する縮小模型振動台実験建築物の浮き上がり時の振動性状に関する縮小模型振動台実験を行なった。試験体は、鋼板を床とし、鋼棒を柱として、4-10層に積み重ねたものとした。試験体寸法は、床を20cm×20cm×2cm程度、各層高さを20cm程度としている。これにより浮き上がり時の外力分布に与える高次モードの影響を分析した。(b)浮き上がり機構を組み込む損傷制御構造建築物の試設計モデルの検討と作成提案するフェールセーフ構造の適用対象となる試設計モデルを検討、作成した。試設計モデルは10層1x3スパンとして、地震応答解析により浮き上がりによる地震応答低減効果を確認した。また、新たな浮き上がり機構の活用法として、ロッキングシステムを、鉛直方向に変形するダンパーで連結したロッキング連結制振構造を提案した。(c)浮き上がり機構を実現するための構造方法とその復元力特性に関する静加力実験地震動のレベルが「極大地震動」にまで達した場合に、試設計モデルに浮き上がり機構を作動させるための仕掛けとして、「浮き上がり降伏型ベースプレート」を取り上げ、その復元力特性に関する静加力実験を行なった。本ペースプレートはこれまでにも実験研究を行ってきたところであるが、今回、取り付け方法等をパラメータとした実験を加えることにより、その復元力特性に関する新たな知見を得た。以上の研究実績を踏まえ、平成19年度には、浮き上がり機構の極大地震に対するフェールセーフ効果を検証することとする。
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Sensors and smart structures technologies for civil, Mechanical, and Aerospace Systems 2007, Proc of SPIE Vol. 6529
鋼構造年次論文報告集 第14巻
ページ: 321-326
ページ: 327-334