家庭に於ける総合エネルギー効率を高める切り札として、また将来的には脱化石燃料のコア技術として、開発と導入が進められている家庭用固体高分子形燃料電池CGS(以下、PEFC-CGS)の導入効果について、数値シミュレーションモデルの構築を行い、その検討を行った。本年度は、PEFC-CGS単体の検討(生活パターン別・共有戸数別)に加え、PEFC-CGSと温水式床暖房システム、デシカント換気システム、キャパシタ蓄電システムとの併用効果について検討を行った。 生活パターン別では、給湯負荷が大きい電力・給湯多消費モデルで9.0%、給湯多消費モデルで10.4%の年間1次エネルギー消費量が削減され、給湯負荷が大きいほどPEFC-CGS導入効果が高くなることが分かった。また、熱電比が大きいほど、PEFC-CGS導入効果が高くなる。また、複数世帯で共有した場合、一世帯あたりの年間1次エネルギー及びCO_2排出量の削減率は、単一世帯に導入した場合よりも高く、3世帯共有とした場合が最大となった。 温水式床暖房との併用システムでは、排熱利用促進によりPEFC-CGSの運転時間が増加することから、PEFC-CGSのガスの1次エネルギー消費量が増加するが、床暖房効果によるエアコン負荷の削減とPEFC-CGSからの発電量の増加により、買電量の1次エネルギー消費量が大幅に削減される。従来システムとの比較では、最大12%の一次エネルギー消費量の削減が可能となった。デシカント換気システムとの併用では、冷房負荷の減少は見られるものの、排熱が有効に利用されることからPEFC-CGSの運転時間が延び、直接的には一次エネルギー消費量削減には繋がらない。しかし、冷房負荷の処理がエアコン(電気)からデシカント(ガス)に移行するため、CO_2排出量は削減されるという結果になった。また、キャパシタ蓄電システムでは、PEFC-CGSならびに発電効率がさらに高い固体酸化物形燃料電池CGS(SOFC-CGS)との併用効果を検討した。より自立性の高い電熱源システムの可能性が示されたが、蓄電容量の設定など課題も残る結果となった。
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