研究概要 |
学校施設の環境配慮型転換を進めるには,環境配慮型施設としての目標値を設けること,また,その目標値を達成するような新たな設計基準・指針を策定することが必要である。本研究の目的は,その第一段階として,実態や効果が皆目不明なエコスクールモデル事業認定校の実態を把握し,エコスクール化のための各手法の効果や問題点を明らかにすることである。 そこで,本研究では,省エネルギー型のエコスクール認定校を中心に,アンケート調査と実測調査を行い,建物の特徴やエネルギー消費量,室内環境を気候区分ごとに検討した。 平成19年度は,前年度行ったアンケート調査の解析と夏季,冬季の実測調査を行った。 アンケート調査の解析では,エコスクール認定校609校のうち省エネルギー型を中心に246校にアンケート調査を行い,147校分のデータを得たが,それを用いて環境共生手法やエネルギー消費量について解析した。その結果,エコスクール認定校であるにもかかわらず,校舎に断熱の無い学校が約2割あり,窓は一重ガラス,アルミサッシの学校がほとんどを占め,断熱性の向上が大きな課題であることが示された。 また,エコスクールの方が一般小学校よりも,エネルギー消費が多い傾向がみられ,その原因は,一般校の施設水準が低いままであること,また,エコスクールがオープンスペース型で校舎の奥行きが深くなり照明などの設備が増加することなどが考えられた。 また,全国の主要都市で行った夏季の実測調査から,断熱や植栽による日射遮蔽,ナイトパージなどが室内温熱環境改善に効果のあることが示された。
|