不快グレア評価の基本式では、対比グレアを評価しているが、光源が大きい場合や背景輝度が高い場合には対比より目に入る光の総量によってグレアがひき起こされることがある。本研究の目的は、対比から総量への変化点、言い換えれば背景が光源の一部に変わるような変化点の存在を明らかにすることである。 まず、既往の研究による大きい光源のグレア式を「対比効果を緩和して対比を評価したもの」「対比効果に総量効果を加算したもの」「総量効果と順応効果を評価したもの」に分類して、それぞれの対比効果と総量効果の扱いを明らかにした。 順応輝度を一定にした被験者実験は、輝度比Lb/Ls9条件、高輝度部分の立体角2条件、高輝度部分の輝度3条件、計54条件について学生9名に対し行った。その結果、低輝度部分の輝度が高い場合に、低輝度部分の輝度が上がるとグレア感が上昇するという傾向が見られた。 対比グレアから総量グレアへの変化点は輝度比と立体角、高輝度部分輝度によって異なる。それを明らかにしていくためには今後非常に多くの実験データが必要となる。対比効果と総量効果を比較、あるいは分離できるような実験方法などを考えていくことも必要であることがわかった。
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