不快グレアには対比効果と総量効果があり、光源が大きい場合や背景輝度が高い場合には総量によってグレアがひき起こされることがある。本研究の目的は、対比から総量への変化点の存在を明らかにすることである。総量グレアであれば高輝度部分と低輝度部分の輝度比によらず視野内平均輝度でグレアを評価できると考え、平均輝度を一定として人工視野装置を用いた実験を行った。 第一実験では、視野内平均輝度Lav4条件(400〜1350cd/m^2)、高輝度部分Lsと低輝度部分Lbの輝度比Lb/Ls3条件、高輝度部分の立体角ω 3条件(0.1〜1.0sr)の計36条件に均一輝度視野4条件を加えた計40条件を評価し、前順応輝度は背景輝度とした。その結果、すべての立体角実験条件で輝度比Lb/Lsによる有意差が見られ、対比効果が大きいことを示した。さらに、輝度比LogLb/Ls=-0.4ではいずれの立体角でも、均一輝度よりグレア感が小さくなった。立体角の影響については、検定の結果、1条件を除いていずれの条件でも有意な影響は見られなかった。 そこで一定輝度(鉛直面照度300【lx】)に順応し、被験者の移動によって視野を変化させる第二実験を行った。実験条件は38条件となった。その結果1条件以外は輝度比、立体角ともにグレア感への有意な影響は見られず、総量効果が評価されていた。 二つの実験から総量グレアの出現には前順応輝度の影響が大きいことを示した。また、均一輝度視野評価の回帰曲線が、平均輝度を用いて計算したPGSVとほぼ一致する範囲を示した。
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