不快グレアには対比効果と総量効果があり、光源が大きい場合や背景輝度が高い場合には総量によってグレアがひき起こされることがある。本研究の目的は、対比効果と総量効果を包括的に評価する方法の提案にある。 研究代表者・岩田は高輝度部分と低輝度部分からなる視野に関して、呈示方法と前順応輝度の影響に関する3つの被験者実験を行った。第1実験の結果から、呈示方法の影響は立体角が大きく輝度比が大きい条件で現れ、それらの条件ではシャッターを用いて高輝度部分を出現させる方法では、被験者の視線の移動による方法より高いグレア感になることを示した。第2、第3実験の結果から前順応輝度の影響を検討し、総量グレアにおける順応輝度変化比による影響を明らかにした。これらの結果から、順応輝度の変化と視野内輝度分布による総量一対比グレア評価フローを作成した。 また連携研究者・望月悦子(千葉工業大学工学部助教)と共同で窓面内の輝度分布と室内表面輝度についてシミュレーションを行い、グレア源と背景を分ける境界輝度を変化させることによる予測グレア感の変化について検討した。 最終的なまとめとして、総量-対比グレア評価フローとグレア源と背景を分離する境界輝度抽出方法の妥当性を検討するため、オフィス空間を模した実空間でブラインドのついた窓面を対象にして不快グレア評価実験を行った。総量-対比グレア評価フローによる予測グレア感と実際の評価値を比較した結果、実窓面の場合グレア感がやや低くなることを示し、評価フローに修正を加えた。また、オフィス空間におけるグレア感と許容率の関係を示した。
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