調査対象を選定するにあたり、まず建築文献、雑誌等で取り上げられ、写真や図面が豊富で、現存する建築と外部空間を持った歴史的建築をリストアップした。その中から「断面構成の空間認知」の調査内容に関わりが強いと考えられる建築を分類した。「クラスター分析(最長距離法)」を用いて、それぞれのタイプの特徴を類型化して捉え、調査対象地区として選出した。「断面想起法」実験に先立ち、想起法によって得られた認知傾向比率値と心理量の相関などを分析するため、「断面想起法」実験と共に行う心理実験のために調査対象地区の空間の人が感じるであろう空間の雰囲気をとらえることが可能な内容の形容詞句の検討や、過去の一連の空間研究により得られた成果を踏まえ、7段階評定の心理評定尺度を多数あげその中から今回の研究に有用な心理評定尺度を選定し、「SD法心理実験」実験用紙を作成した。本研究の性格上、実際の空間を体験してもらうことが重要であるため、調査対象になった場所を訪れた。調査対象地で空間の認知傾向を記入してもらう断面想起法実験を行った。また、空間のさまざまなエレメントを自由に指摘してもらう断面指摘法実験を行い、さらに、空間の雰囲気を記入してもらう心理実験を行った。被験者は10人である。 実験結果を集計し、以下の分析を行った。 (1)「SD法心理実験」より得られた結果をもとに各調査地の数量グラフを作成し、各調査地の心理評価の傾向を読みとった。 (2)「SD法心理実験」より得られた結果から、全地区の心理的特性を定量的に把握する事ができ<心理量>を「因子分析法(直接バリマックス法)」を用いて、「断面構成の空間認知のあり方」の評価構造上、特に重要と考えられる心理因子軸を抽出した。 (3)「断面指摘法実験」の結果を集計し<指摘量>、これを基にドットマップ分析や指摘エレメントの属性を整理し、意識上で印象に残るエレメントの全体の傾向を比較検討した。
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