研究課題/領域番号 |
18560592
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤井 明 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20126155)
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研究分担者 |
及川 清昭 立命館大学, 理工学部, 教授 (00168840)
今井 公太郎 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (20262123)
橋本 憲一郎 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40361646)
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キーワード | 都市計画・建築計画 / 計算機科学 / 地域分析 / 領域分割 / ボロノイ |
研究概要 |
前年度に開発した障害付きボロノイ問題のプログラムを用いて、本年度は、実際の都市空間の事例として、上野公園におけるAEDの配置について分析と検討を行った。 上野公園は、都市のパブリックスペースとして、人々が多く集まる場所であるが、AEDの整備は、個々の建物に任されており、統一的な配置計画が存在しない。AEDは、心臓発作の被害者を発見してから、できるだけ早く使う必要がある装置であり、発作を起こした場所から最近隣の装置までのアクセス距離が、被害者の生存率にとって、非常に重要なファクターになる。つまり、装置へのアクセス距離をできるかぎり短くすることで、犠牲者の生存率を高めることができる。医療の分野で、装置としてのAEDの研究を見つけることはできる。しかし、都市計画・建築分野では、その空間的な配置に関して、研究事例はあまりない。また、上野公園には、池や上野動物園などの大きな領域があり、植栽や塀などが多く、直線距離と現実的なアプローチのための最短経路距離が大きく異なる。こうした状況を考慮し、現状のAED配置についての圏域分析を開発したプログラムによって分析した。その際に、アクセス距離をアクセス時間に換算すると、心臓発作患者に対してAEDを使用した場合の生存率が求められるので、AEDによる救助プロセスを分析し、障害付き距離と生存率の関係を定式化している。そして、AEDによる生存率を地図上にプロットし、その偏りや平均生存率を算出した。具体的には、AEDを母点とする各ボロノイ圏域において、AEDへのアクセス距離の分布を調べた。そしてAED配置の手薄なところをあぶりだした。この結果に基づき、手薄なところへAEDを追加配置すると仮定した場合の、圏域の変化やアクセス距離の変化を測定した。その結果、私たちは、現在、平均アクセス距離343mの配置状況をAED追加により、平均アクセス距離119mまで改善する(平均生存率18パーセントの改善)配置の提案を行った。
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