本研究では、女性のライフサイクルと居住地選択の関連性に見る住宅需要の多様化について分析をおこなった。本研究の目的は、主に女性を対象として、その居住や居住地選択に関する実態を明らかにすることにより、住宅需要の詳細な実態を解明し、住宅政策における「居住の質的向上」の方策を探ることをめざした。その枠組みのなかでいくつかの分析を行い、住政策への提言をめざしている。家計経済研究所より貸与を受けた女性の消費生活に関するパネルデータの分析、および、詳細な事例調査に基づく子育てと居住生活に関する分析や、住要求、居住地選択に関わる住環境評価の分析を行い、住政策への提言を試みた。以下が得られた成果の概要である。 第一に、女性の消費生活パネルデータを用いて、ライフサイクルと居住地選択、就業状況と住要求の実態や、DEWKS女性の就業特性と居住特性について分析を行い、居住や居住地選択の実態に関する知見を示した。 第二に、女性の居住生活の中で重要な位置を占める子育てについて、関連施設との関係から分析を行いその実態を明らかにし、施設の在り方について提言を行った。 第三に、居住地選択、住環境評価や歴史的住宅の評価についての分析、海外の住宅需要に関する調査を行い、住政策のあり方について提言を行った。 本研究を進めるにあたってはその成果を学会大会や学術誌において積極的に公表することを心がけ、その結果多くの成果を蓄積公表することができた。
|