研究概要 |
本年度は、アメリカにおいて、持続可能な地域計画運動の顕著な展開が認められる都市圏(人口100万-300万)、ポートランド、ソルトレイク、シアトルを取り上げ、それぞれの地域において地域計画運動に取り組んでいる非営利団体の計3団体を対象に、関係者インタビュー、資料収集を行い、組織の成立の経緯、理事会・スタッフ・会員等の組織の属性、資金源、主たる活動分野、主たる実績とそれを可能とした要因を調査した。 9月、3月に各都市一週間滞在し、非営利団体の関係者、創設者等かつてのメンバー、近隣の大学の研究者に対して、調査項目に基づいたインタビュー、資料収集を実施した。 1.平成18年9月 1000 Friends of Oregon(オレゴン州ポートランド都市圏) 1000 Friendsの創設者Henry Richmond, Richard Benner, Oregon州立大学Ethan Selzer, Carl Abbott, Sy Adler教授にインタビュー。1000 Friendsのオフィスで、過去約30年のニュースレター、報告書をレビューし、重要と思われるものを複写。この組織は、州の成長管理法の運用の監視役として、若い弁護士を中心に、州知事の支援により設立された。資金源は、法の運用を支援する会員の会費。強力な州の成長管理法とそれを支持する広範な市民が基盤。 2.平成19年2月 Envision Utah(ユタ州ソルトレイク・シティ都市圏) 事務局長Alan Matheson,スタッフTed Knowlton,元スタッフのD.J.Baxter,関係するAssist.Inc.のRoger Borgenicht,ユタ大学のKeith Bartholomew助教授にインタビュー。Knowlton, BartholomewはPortlandに関与、影響が認められる。しかし、ユタ州は成長管理法はない。この組織は、監視役というよりは、地域環境の将来に関心ある市民代表を集めて、土地利用と交通計画の代替案を提示し、合意を形成するファシリテーターとして設立された。この「地域シナリオによる地域ビジョニング」は、連邦交通省に推奨され、全米に普及。資金源は財団からの補助金 3.平成19年2月 Futurewise(ワシントン州シアトル都市圏) Futurewise事務局長Aaron Ostrom,元会長Mary McCumber、Joseph W.Tovar,ワシントン大学Donald Miller教授にインタビュー。州の成長管理法の成立を契機に、オレゴン州をモデルに設立された。会費と財団補助を資金源。しかし、オレゴン州の法律よりは、地方自治体の自由度が高いため、監視役というよりは、市民、議員を啓発し、州議会の立法、地方自治体の条例や計画等を、法の趣旨に合致するよう働きかけるロビーストの性格が強い。
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