研究概要 |
本年度は,実物の市販ロボットおよび実験用制作ロボットを用いて,ロボットの形状・動き方に対する建築空間との適合性,人間の歩行特性との適合性等について明らかにした。結果の概要は以下である。 ■実験1:住宅での人間に対するロボットの適正位置に関する実験当初予定では,生活者のロボットへの期待感の有無による評価の差異を明らかにすることを目的としたが,これに人間とロボットとの距離の変数を加えて実験した。椅子座でくつろいでいる被験者が,周囲を移動するロボットに対して感じる煩わしさを2次元平面上の広がりとして計測した。また,そのときのロボットの適切な待機位置について尋ねた。実験の結果,遠ざかるよりも近づく方向の方が邪魔さ感が大きいこと,近い位置では縦移動が遠い位置では横移動の方が邪魔さ感が大きいことがわかった。また,待機位置は斜め前か横が好まれるという結果になった。 ■実験2:ロボットの形状・動き方と建築空間の適合性に関する実験 各種の建築空間において実物のロボットを動かすことにより,ロボットの形状・動き方と建築空間との適合性について印象評価させた。実験の結果,「球型ロボット」の方が「人型ロボット」より建築空間に対する違和感が少ないこと,両ロボットとも「公園ベンチ」などの屋外空間では違和感が高く,「レストラン」や「オフィス室内」などの公共空間では違和感が少ないことなどが明らかになった。 ■実験3:案内ロボットに追従する人間の歩行特性に関する実験 移動する箱型ロボットの後から追従する人間の歩行特性について分析した。ロボットに対する被験者の歩行特性には,真後ろを追従するパターンと斜め後ろを追従するパターンとが見られた。特に真後ろを追従した被験者は,ロボットの通過した軌跡の上をなぞるように歩く傾向が見られた。 上記のうち,実験1と実験2については,日本インテリ学会大会において発表を行った。
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