本研究では、重機接触防止のための支援方法の開発を目的として以下の項目に研究の結果を示す。 (1)災害事例分析による事故原因の分析 重機災害に関連する災害事例を収集してデータベースの作成を行った。工事車両の接触事故の原因分析を作成したデータベースを用いて行い、人的エラーを発生しやすい行動として「計画の無視」、「教育の無視」、「準備の未確認」、「作業の未確認」、「監視の無視」が作業プロセスの中で多いことが確認した。さらに、FTA手法を用いて災害発生プロセスをモデル化し、支援システムの基本機能として「緊急停止時間の確保」、「周辺情報の提供」、「危険行動の確認」を設定した。基本機能を達成する方法として作業関係者の必要な情報を提供することを提案し、内容を示した。 (2)無線ICタグを用いた接触事故防止の支援システムの構築 支援システムの基本機能に必要な情報を収集する手段として無線ICタグを提案し、無線ICタグを用いた支援システムの基本的な仕組みを構築した。システムの機器としては、「無線ICタグ」、「無線ICタグの受信機」、「データサーバ」、「警告装置」、「無線通信」を用いて構成し、各機器の役割を定義した。さらに、提案したシステムのプロトタイプ装置を作成した。 (3)無線ICタグデータの収集実験 支援システムとして提案した各機器のデータ収集性能を確認するため、プロトタイプ装置を用いて現場実験を行った。その結果、複数の受信機とタグによる工事車両や作業者のデータをリアルタイムでモニタリングしながらデータを収集できることを確認した。さらに、収集したデータパターンと実測した工事車両の作業領域の比較を行い、受信機の電波受信範囲におけるタグ領域の推定には有効性があるものの、電波受信範囲が重複している領域や電波に反射などがある領域においては受信機の設置に調整が必要であることを確認した。
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