平成18年度においては、日本における在日外国人にも対応した社会基盤や都市整備の為の基礎データの構築を目的として国内外の調査分析を行った。 国内においては、在日南米人のコミュニティ(静岡県浜松市や長野県松本市の周辺地域を中心に、ブラジル系スーパーにおいて対面式アンケートを行い、その調査データを整理して、生活・行動圏の実体把握を行った。 海外においては、国内の調査との比較や、イギリス統計局によるロンドンの人口データの上位にあるエスニックグループが居住する地区の商店街(8地区)を選定し調査を行った。現地調査においては、店舗配置に加えて、業種分類と共に地域のエスニックグループの特徴を示す商品を扱っているか否か、商店街へのアクセスといった観点から行い、人口構成・店舗の業種分類や業種部類別に可変半径法による連結度による配置特性を整理し、エスニックグループ毎の商店街の構成を整理・分析を行った。その結果、(1)ロンドン内の特定のエスニックグループが多く住む地域内にある中心的な商店街の詳細なデータが得られたこと、(2)異なるエスニックグループと同一エスニックグループ内で複数箇所調査した結果、1)エスニックグループ毎に生活・習慣に根ざした連結度の高い業種を持つこと、2)同業種の個人商店が近接多数共存していること注4、3)商店街の活気を生み出すものとして屋台があり、屋台の出店管理を各boroughが行っている。注5その結果、各boroughがborough内のオープンスペース(例.車道の両側、ポケットパークなど)を把握し、それを有効活用して収入を得ていることがわかった。 上記の得られた結果は、日本における在日外国人に対応した社会基盤や都市整備の基礎データになるだけでなく、シャッター商店街等の再生へ応用可能なアイディアを示していると考えている。
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