全国的に高齢社会化が進む中で、地域社会では高齢者に限らず、幼児、障がい者など社会的弱者が共に生活することができる住生活支援システムを構築していくことが求められている。その一環として、本研究では、小規模多機能型民間デイサービス施設を開設している愛知県、富山県、滋賀県、長野県、静岡県などの事例を取り上げている。研究目的は、地域社会において最も密接な関係にあるデイサービス施設について、地域社会との連携や支援の視点から、デイサービス施設の運営形態とそれに伴う地域社会への活動の広がりを把握し、デイサービス施設のあり方と今後の方向性を明らかにすることにある。調査研究期間は3年間であるが、本年度は2年目に当たる。初年度では、長野県、長野県の栄村、富山県、滋賀県の自治体に対し、ヒアリング調査した。この調査では、自治体サイドが把握しているデイサービス施設の実態、施設への公的施策、高齢者対策などをヒアリングし、高齢者対策の全体像を把握することにした。高齢者対策やデイサービスへの支援策は、自治体により温度差があり、地域性のあることが認められた。さらに長野県、富山県、滋賀県の民間デイサービス施設をいくつか事例調査し、地域社会との古流や関連諸施設との役割を検討した。2年目では、長野県、富山県、滋賀県のデイサービス施設を事例調査した結果をもとに、公共と民間の果たす役割の違い、公民協働のあり方、地域社会との交流や関連諸機関とのネットワーク活動の果たす役割などを検討した。他方、日本の高齢者施設だけでなく、中国北京市、北欧のデンマーク市についても同様の視察調査を実施した。日本の高齢者施設の特徴、問題点を違った形で捉えていくことにする。来年度も引き続き同様の調査を実施していく予定である。
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