研究概要 |
本研究は, 高齢者介護施設における入浴環境の利用実態を把握し, 人権を尊重した介護浴槽及び入浴ケア環境の必要性を導き出すことが目的である。本年度は, 調査結果を分析して, 得られた知見を以下の6つのキーワードにまとめた。 1) 少人数 ・集団入浴介護から個別入浴介護への移行で, 利用者1人に関わる介護者数が減少した。 ・個別入浴介護では, 利用者の心身状況の変化が捉えやすくなっていた。 2) プライバシーの確保 ・個別型浴室の平面計画は, 利用者のプライバシーの確保に繋がっていた。 3) 介護負担の緩和 ・利用者と介護者の身体状況に応じて, 入浴介護環境を選択できる必要がある。 4) ユニバーサルデザイン ・UD浴槽は, 1台で独歩〜車いす利用者の入浴に対応していた。 ・UD浴槽は, 介護浴室の省スペース化や省コスト化に繋がっていた。 5) ユーザビリティ ・馴染みのない臥位入浴は, 利用者は受身の入浴になりがちであった。 ・浴室が広いためのヒートショック対策が, 利用者の受身の入浴に繋がっていた。 ・認知症の利用者の場合, 家庭的な環境に近い入浴支援と入浴環境が求められていた。 6) 事故防止 ・集団入浴介護から個別入浴介護への移行で, 担当の利用者から離れることが無くなった。 ・非日常的な浴槽のデザインが介護者の誤操作を招く可能性が指摘されていた。 ・利用者や介護者の心身状況に対して, 入浴介護環境を選択できることが事故防止に繋がる。
|