平成21年度までの科学研究書補助金交付期間内に調査研究を完了させる中南部トスカーナの8地域のうち「アルノ川上流域」に相当する下記(1)、(2)、(3)を対象とし、2回の調査を行った。 1.調査の時期と期間 平成18年9月と平成19年3月(各約2週間) 2.調査地「アルノ川上流域」 (1)ムジェッロ地方(ボルゴ・サン・ロレンツォ、バルペリーノ・ディ・ムジェッロ、スカルペリア、ツィレンツオラ) (2)アルノ川上流域・ヴァルダルノ地方(フィリーネ・ヴァルダルノ、サン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノ、モンテヴァルキ、テッラヌオヴァ・ブラッチョリーニ、カステルフランコ・ディ・ソプラ) (3)ヴァル・ディ・ギアナ地方(カスティリオン・フィオレンティーノ、コルトーナ、モンテ・サン・サヴーノ、ルチニャーノ、モンテプルチアーノ、サルテアーノ、チェトナ) 3.調査実績 最新の資料・文献は、フィレンツェ大学建築学部都市地域研究学科図書館にて複写で収集し、図面・航空写真はマイクロフィルムで撮影、絶版になった稀摺本等は古書店で購入した。史料はフィレンツェ国立古文書館にて、特に都市建設に関わる文書、議事録、都市・地域の古図、絵図、19世紀初頭の課税用不動産登記台帳(カタスト)と地籍図を入手、調査地においては、各小都市の市役所で個別に図面・資料を収集した上で、多様な高さからの写真撮影と必要な部分の実測を行った。また、城砦と市壁・市門の残存状況、広場・街路による外部空間の構成、街区をつくる住居集合の特質を調査し、都市図面上に記録し、基礎データを作成した。
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