1.民家野外博物館等における民家維持管理状況の実態調査 川崎市立日本民家園のほかに、三渓園(神奈川)、江戸東京たてもの園、おさごえ民家園(福井)、民家集落博物館(大阪)において現地確認調査を行い、展示民家の管理状況について確認した。このうち川崎市立日本民家園、民家集落博物館については、学芸員・建築職員の方々にヒアリングをして、現段階における学術機関(学会や大学等)との速携状況を確認して、将来的に民家継承手法の中核施設となりうるか、その可能性と施設側の期待もうかがった。 大阪の民家集落博物館は、建築の専門職員がいないため、今後行われる重要文化財民家の修復事業においていかに建造物修復のノウハウを展示や教育活動に活かせるかが注目される。川崎市立日本民家園の場合は、修復体験を取り入れ実施できる素地が十分認められる。 また、全国重文民家所有者の会にオブザーバー出席し、民家所有者の抱える日常管理や公開・修復に関する忌憚のない意見もうかがった。 2.民家の保存・活用・再生に関する指針「民家の伝え方」の素案検討 3.野外博物館との連携による修復体験学習 川崎市立日本民家園で実施の打ち合わせをしたが、時期的な問題により今年度は断念した。そのかわり、同じ県内の藤野町において土蔵の修復体験学習を実施し、壁土造り・カベ塗り・土間叩きなどが実施可能なことを確認した。参加者を一般と専門家に分ける必要があるのかという点が課題として浮かび上がった(目的について)。また、体験修復の内容をわかりやすく作ることは大きな課題ということがわかった。さらに、修復体験学習の場合、指導者になってくれる職人の理解と、綿密な事前打ち合わせが実際の文化財修復設計監理以上に必要である事が明確になった。
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