昨年度に引き続き下記の活動を行った。 ・野外博物館に対する実態調査を行った(既調査施設への確認調査も含めて)府中市郷土の森博物館・みちのく民俗村・みちのく公園ふるさと村・福島市民家園明治村・飛騨民俗村・合掌民家園・おさごえ民家園・奈良県立民俗博物館・四国村など ・藤沢市で実施中の長屋門移築復原工事において協力し、現場公開4回を実施、茅葺き・土間叩き、壁土作り、漆喰塗りなどの伝統技法を紹介した。また、昨年度の現場説明会で作成したパネルを基礎にカラー版の解説書を作成した。 ・相模原市藤野町で継続している土蔵の修復体験「里山普請プロジェクト」の第5期として土蔵腰壁の「モルタル洗い出し」という近代の建築技法について修復して仕組みを学ぶ機会を設けた。(藤沢と相模原の活動は本学の地域連携活動とも連動して実施した) その結果、野外博物館が直ちに「民家保存技術の継承・公開のために地域の核となる」ことは、文化財建築の専門職員を有する施設が少ない現状と、前例がないことからすぐに普及させることは難しいと考えられた。ただし川崎市立日本民家園や明治村は周囲の協力が或る程度加われば試行可能と認められた。ちょうど神奈川県が歴史的建造物保存活用推進員の講習会を企画していたので、その研修会場に川崎市立日本民家園を推薦して実施したところ大変好評で効果も高かった。参加者のアンケートによると明治村など洋風建築を有する施設での研究を望む声も少なくなかった。したがって今後はこうした施設において建築関係者への技術研修会の試行を重ね、合わせて上記の見学会や体験修理の情報集積することによりノウハウを蓄積し、専門建築職員を有する施設へも可能性を広げ留手法が有効と考えられる。そのことにより、将来的には日本各地において「民家保存技術の継承・公開のために地域の核となる」ことは可能と認められる。以上をまとめて成果報告書を作成した。
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