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2007 年度 実績報告書

中央ヨーロッパの木造架構における棟持柱構造の原形と変容に関する形態史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18560627
研究機関信州大学

研究代表者

土本 俊和  信州大学, 工学部, 教授 (60247327)

キーワード棟持柱 / 股木 / 切妻 / 寄棟 / 通し柱 / 中央ヨーロッパ / 民家 / 木造
研究概要

イタリアを扱った本年度は『中世後期から近世に至る掘立棟持柱構造からの展開過程に関する形態史的研究』(2001-3年度、基盤C2、代表・土本)で2001年12月に先行実施した調査地域に含まれていなかった。木造の棟持柱構造は、その建築遺構が、ドイツ、スイス、オーストリアといったアルプス以北、あるいは東ヨーロッパに遺る。他方、アルプスより南の地域では、早い時期に木造から組積造に移行したため、木造架構の遺構が少ない。しかし、イタリアでは、組積造へ移行するものの、小屋組に木造を遺す事例が多く、逆にすべてを組積造とする建造物はかなりの記念碑である。今回、まず、イタリア北東部に位置するValcamonica渓谷に向かい、岩壁線画が群として世界遺産として保護されているCapodiponteを調査した。棟持柱構造を示す数々の岩壁線画は目をみはるものがある。岩壁線画のほか、建築遺構を把握するため、Milano、Padova、Vicenza、Veneziaといった北部のほか、Firenze、Luccaといった中部の建築遺構を実地調査した。小屋組を木造とする建築遺構は、架構が棟持柱構造ではなく、その小屋組が棟束をもつ扠首組であった。この小屋組はトラス構造である。しかし、二等辺三角形のトラスの中心に垂れるKing-post(棟束)は、下辺の水平材(梁)に載らずにそれに接しているだけで、下辺の水平材に対して下方にも上方にも力を伝え得る。このKing-post(棟束)は、『中世後期から近世に至る掘立棟持柱構造からの展開過程に関する形態史的研究』にて日本の木造建築に即して論証したように、棟持柱の下部が切り取られた結果の姿である可能性が高い。この仮説が正しければ、イタリアの木造建築の小屋組に見られるKing-post(棟束)は、日本の木造建築と同様に、棟持柱を祖形している。棟持柱構造を示す数々の岩壁線画と併せて、このKing-post(棟束)を分析するならば、なお一層、この仮説が有力である。今後、考古学的資料と石造の建築建築を含めた広い視野にて、棟持柱構造の原形と変容を考察する必要がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008 2007 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 信州善光寺宿坊における3階建て木造建築の変容過程とその構造2008

    • 著者名/発表者名
      長崎真也, 松田真一, 土本俊和, 梅干野成央
    • 雑誌名

      日本建築学会計画系論文集 625

      ページ: 655-662

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 京マチヤの原形・変容・伝播に関する形熊史的研究-建物先行型論と棟持柱祖形論にもとづく建築コラージュ形態史論-2008

    • 著者名/発表者名
      土本俊和
    • 雑誌名

      住宅総合研究財団研究諭文集 34

      ページ: 161-172

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 民家のなかの棟持柱2007

    • 著者名/発表者名
      土本俊和
    • 雑誌名

      民俗建築 131

      ページ: 102-112

  • [雑誌論文] タテノボセと土台からた小見模建造物2007

    • 著者名/発表者名
      早川慶春, 土本俊和, 鵜餉浩平, 梅干野成央
    • 雑誌名

      日本建築学会計画系論文集 616

      ページ: 167-174

    • 査読あり
  • [学会発表] Mechanical Role of Roller Ends of Historical Timber Structures2007

    • 著者名/発表者名
      Toshikazu Tsuchimoto
    • 学会等名
      16th IIWC(ICOMOS International Wood Commitee)International Conference and Symposium, 11th-16th November 2007
    • 発表場所
      イタリア・フィレンツエ
    • 年月日
      2007-11-13
  • [備考]

    • URL

      http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/soar/profile.do?lng=ja&id=HmfmZVkh

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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