研究概要 |
ルドルフ・シンドラーの全ての論考を対象にした分析を行い,彼が生涯をかけて追求した"Space Architecture"の建築的概念の本質を,1)「空間」という媒介の発見,2)「空間形態」,3)「空間形態」の構成法,4)「空間形態」のプロトタイプと構造,5)「文化」の課題としての「空間」,という5つの視点のもとに導き,さらにここでの検討を,申請者が従来行ってきたシンドラーの建築作品に関する検討を統合させ,彼の建築思想や建築作品の近代建築における位置づけや意義を明らかにするとともに,現代建築への貢献を導くものである. 平成19年度は,18年度の分析の枠組みの検討をふまえ,シンドラーが生涯に著した18編の論考を分析対象とし,近代や近代の建築に対する言説や,自身の建築や空間,さらに具体的な方針や手法にいたる言説の抽出を行い,言説の主題をKJ法に準じて整理を行い項目として整理し項目の構造化を行った.その結果,シンドラーの建築思想の主題として【時代認識】,【空間建築】,【空間構成の方針と手法】という第1水準の項目とそれを構成する第2から第4水準の項目を析出した.ついで,各論考の内容を項目に着目して検討し,その位置づけを示すとともに,論文のタイプとして理念的なもの,手法的なもの,その中間なものとして整理可能であることを示し,さらに同様の視点から,シンドラーの建築に関する論考の変遷を示した.
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