研究概要 |
本年度は、ドイツ16世紀の都市計画理論、ネーデルランドの都市計画理念とその影響の広がりと変遷過程について分析し、また3年間の調査研究を総合した比較研究を実施した。 1.ドイツの16世紀の都市計画家・建築家ダニエル・シュペックリンの城塞建築理論に関する調査分析 ストラスブール市文書館に所蔵される16世紀後期にシュペックリンによって作成された城塞都市計画図、城塞建築論手稿図面について資料調査し、同時期の前後におけるストラスブールの建築物、工作物について現地調査した。またシュペックリンの理想都市案について、イタリアのパルマノーヴァの当初計画を復元し、比較研究した。 2.アントワープにおける16世紀中期の新市街地拡張計画等についての復元的分析 アントワープ市文書館に所蔵される16世紀中期等の都市計画図面について資料調査し、かつ同時期におけるアントワープ市内の街区再編計画の痕跡について現地調査した。それをもとに、新市街地の計画プロセスを復元し、また正五角形の要塞について復元研究した。 3.ネーデルランドおよび他地域の16,17世紀の都市計画、建築理論の比較分析 17世紀におけるニューヨーク南端部のオランダ領ニュー・アムステルダム時代からイギリス領ニューヨーク時代への都市構造の変遷過程を復元し、オランダ的都市空間理念とイギリス的都市空間理念の相違を明らかにした。 3年間の調査研究を総合して、水路を用いた、オランダの都市空間理念、およびその影響を受けたヨーロッパ諸都市の都市構造と、日本の16、17世紀の城下町における水路網の都市空間理念を比較研究した。
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