(1) 近世都市の成立において重要な役割を果たした豊臣政権が展開した景観レベルの都市政策の実相については、二階建町家の建設や軒高の揃った町家の建設を奨励したことが断片的に知られるのみで、その社会や空間に果たした意味機能は明らかになっていない。 (2) 本研究は近世都市に卓越する平入り志向の景観形成が、空間や社会の大規模な再編を目指した豊臣政権の都市政策の一環をなしたという仮説の論証を目指している。具体的には以下の2点について研究を進める。 (3) 妻入り志向と平入り志向の町並みの地域分布を遡及的に把握し、近出の遺構資料や文献・絵画史料の再検討を進める。 (4) 都市社会から都市空間、日常の生活世界が展開した都市景観までを貫く総合的観点から、近世都市における景観形成と豊臣政権の都市政策の実相に迫る。
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