研究概要 |
ナノ粒子系の単電子伝導計測を安定して行なうために,初年度における目標を装置開発および基盤技術の最適化を中心に据えた.これに立脚して,MgOおよびMgO/Fe/MgOをテスト試料とした局所伝導測定を行なった.詳細を以下に記す. (1)TEM/STMホールダ:超高分解能TEMに適合するホールダの設計・試作を行なった.3本のナノ電極を搭載し,それぞれが電気回路を保有する設計とし,ナノステップの探針移動,サブナノアンペアの電流分解能,原子レベルTEM分解能を目標とした.探針移動操作性の向上(第1項目),除振性能向上(第3項目)の必要性があるが,ほぼ目標を達成できた. (2)単電子テストデバイス作製:SiO_2/Si上にFe-SrF_2,Fe-MgOナノドットアレイを作製し,低温において明瞭な単電子伝導を確認した.ドット分散性の向上が室温実験に向けての課題である. (3)TEM/STMによる量子伝導計測:(1)で作製したTEMホルダーを用いて,MgO, MgO/Fe/MgOのナノ伝導計測を行ない学会発表を行なった.ピエゾ駆動探針電極を用いた,室温での単電子伝導計測が可能であることを示すことができた. (4)STM探針作製:スパッタ法によるAu, Si探針作製に加えて,Siの熱酸化プロセスを用いた電極尖鋭化を試みた.カーボンナノチューブ形成については今後の課題である. (5)TEM実験用基板作製:テストデバイス平面観察用基板としてSiN/Siのプロセス法をほぼ確立した.これまでにも同様の手法が知られているが,単純なプロセスで約15nm厚の基板を作製できることが今回の特徴である.ナノギャップを持つ電極パターンの形成し,ギャップ間にナノドットを配置することが今後の課題である. (6)当該手法が適用可能な材料系(ナノドット系以外)の模索を行なった.MRAM材料,ReRAM材料.
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