研究課題/領域番号 |
18560651
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
村上 英興 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30011000)
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研究分担者 |
金沢 育三 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00134768)
佐藤 公法 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (00401448)
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キーワード | カーボンナノチューブ / グラッフェンシートエッジ / 陽電子消滅法 / コインシデンスドップラー / 電子顕微鏡法 |
研究概要 |
カップ積層型カーボンナノチューブのグラッフェンシート積層構造を高分解能電子顕微鏡で観察した。その結果、(1)隣接シート間の間隔は0.34nmでグラファイトの隣接層間距離とほぼ同じであること、(2)シートのエッジがチューブ表面にあらわれ、しばしば他のシートエッジと連結していること、(3)多層型カーボンナノチューブがカップ積層型カーボンナノチューブを被覆していることがあること、(4)カップ積層型ナノチューブと多層型ナノチューブの間には数nmの隙間があること、(5)大気中、1073Kで酸化させると、表面に厚さnmのオーダーの厚さの非晶質カーボン層が形成されること、がわかった。 カップ積層型カーボンナノチューブの陽電子消滅測定は、高い精度で高運動量ガンマ線測定ができるコインシデンスドップラー拡がり測定法でおこなった。今年度は、まずコインシデンスドップラー拡がり測定装置をくみ上げた。組み上げた装置のエネルギー分解能と計測効率を標準的な試料を使って調べ、本研究の遂行に十分であると結論できた。コインシデンスドップラー拡がり測定法では、基準試料を定めこれから得られたスペクトル試料から得られたスペクトルとの比をとり、この比率スペクトルを元に結果を検討する。本研究ではグラファイト結晶を基準試料とした。その結果、カップ積層型カーボンナノチューブのドップラースペクトルは、多層型カーボンナノチューブのそれに比べて著しく異なっていることがわかった。カップ積層型カーボンナノチューブの表面はグラッフェンシートのエッジが露出しているが、多層型カーボンナノチューブの表面は円筒状のグラッフェンシートで構成されていてエッジはほとんど存在しない。陽電子の消滅サイトがこのように異なると、ドップラースペクトルが明瞭に異なることが結論できた。
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