酸化チタンの応用のひとつに光超親水化を利用したセルフクリーニング効果があるが、近年、この光親水化現象が酸化チタンの結晶面に依存することが報告され、酸化チタン単結晶を用いた結果、ルチル型構造の(100)面や(110)面が超親水化に対して高い感度を持つことが報告されている。私たちはこれまでに酸化チタンの硫酸水溶液中での自己光溶解反応を利用したフォトエッチング反応に関する研究を行い、酸化チタン焼結体や単結晶表面をフォトエッチングすると結晶配向に依存した特徴的なエッチングパターンが形成されることを見出している。 本研究において、チタン板を熱酸化して作製した薄膜電極をフォトエッチングすることにより多結晶酸化チタン薄膜表面に選択的に(100)面を露出させることができることを見出した。フォトエッチング反応は、ルチル型酸化チタンのc-軸方向に進行し、幅数十ナノメートル、長さ数マイクロメートルの短冊状の試片が積み重なった高比表面積かつ高結晶性の表面が得られることがわかった。そのような表面の親水化特性について検討したところ、フォトエッチング処理を行うことにより、光親水化速度が速くなることや適当な条件でフォトエッチングすることにより接触角がゼロとなる超親水性を示すことを明らかにした。これは、フォトエッチングにより光親水化に高い感度を持つ(100)面が露出し、また、ナノポーラス化によって表面吸着水との接触面積が増加したためと考えられた。
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