研究概要 |
炭化ケイ素(SiC)セラミックスの力学特性向上のため、0.8μm SiC(SiC A)に30nm SiC(SiC B)を体積比で0,5,10,15,25vol%混合した焼結体の作製と力学特性の評価(強度、破壊靭性、ワイブル係数)を行った。pH5のY(NO_3)_3水溶液中で、負に帯電したSiC AとSiC Bの単位表面積に吸着するY^<3+>イオン量(焼結助剤)は等しく、Y(No_3)_3濃度の増加に伴い直線的に増すことが明らかとなった。SiC-1.2vol%Al_2O_3-0.94〜1.3vol%Y_2O_3の800℃仮焼体の相対密度は35.7-53.3%で、SiC Bを添加すると低下した。1950℃の液相焼結後の相対密度は97.3-99.4%で、SiC Bの添加量の増加に伴い密度は増加した。SiC BがSiC Aよりかなり大きな比表面積を持つため、SiC単位面積あたりに必要な焼結助剤量は2mg/m^2以上が好ましい。SiC Bを添加した各焼結体の4点曲げ強度、破壊靭性およびワイブル係数は以下の通りであった。0%SiC B:565MPa,5.4MPa・m^<1/2>と11.4,5%SiC B:744MPaと4.8MPa・m^<1/2>,15%SiC B:805MPaと5.1MPa・m^<1/2>,25%SiC B:812MPa,6.0MPa・m^<1/2>と5.9。15と25%SiC B添加焼結体の最高強度は1070・1080MPaであった。SiC Bの添加量の増加は焼結体の強度を増加させるのに効果である。破壊靱性の改善も認められた。
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