平成18年度は、炭素源としてカンファー(樟脳)、触媒の鉄源としてフェロセンを用いたCVD法で、シリコン基板上に垂直に配向したCNTsを作製した。それは優れたフィールドエミッション特性を示した。 一方、触媒の酢酸鉄と酢酸コバルトをゼオライト上に担持させて、大気圧中550℃の低温中でMWCNTsを作製することに成功した。しかし、酢酸鉄は極端に高価な原料であり、CNTsの大量生産には向かない。そこで、本年度は酢酸鉄の経済的な代替品を見出し触媒濃度とCVD温度を最適化する条件を求めた。窒化鉄が極端に安価でしかも触媒効果としては、酢酸鉄とほとんど変わらないことを見出した。最適化された条件では、大気圧中650℃ゼオライトに担持したFe-Co触媒を用いて、原料のカンファーの50%もの質量のMWCNTsを作製することができた。その直径は10-15nmであり、できたままの状態でCNTsの純度は88%である。炭素原子のCNTsへの変換効率は実に61%にも達し、他の通常の炭素源では得られていない大きな数字である。よって、我々はこれをギガ成長と呼んでいる。
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