研究概要 |
本研究は、新規希土類複合マンガナイト系酸化物の酸素分圧制御等による合成をし、新規構造およびそれによる新物性の発現を目的としている。18年度は、様々な分野の研究者が各得意分野を生かして新規酸化物合成および物性発現をめざし、設計、構造、相状態、相転移のメカニズム解析等を複合的手法により研究を遂行することができた。 1.希土類マンガナイト酸化物の合成と新相の探求 Ar中で新相(A_<0.67>L_<n0.33>)(M_<n0.33>Ti_<0.67>)O_3(A=Ca, Sr, Ln=rare earths)の合成に成功した。ヤーンテラー効果を示すMn^<3+>イオンの置換により定比になるように組成を制御し、新規構造・物性の発現をめざして設計した。J.Rare earths 24(6)(2006)668 2.化合物の構造解析と物性の関連性 2-1 新相のCa系とSr系の構造解析をXRDおよび電子回折により行った結果、Ca系のほうが酸素八面体の傾斜が大きくひずみの大きい構造を有した。 2-2 LnMnO_<3+x>の酸素分圧の違いによる熱物性、電気伝導度について議論した。Key engineering materials 321-323(2006)1695 3.相状態、相転移その場観察 3-1 BaLn_2Mn_2O_7については、これまで高温でI4/mmmになると解析されてきたが、Eu, Gd, Prについて、高温TEMによるその場観察により、偶然にも、これまでに報告例のない一次相転移を見つけることに成功した。今後高温XRDと合わせて、他の希土類についても詳細な研究を続ける。Physica Status Solidi (c),J.Rare earths 24(2006)1,J.Am.Ceram.Soc.in press 3-2 新相の(Sr_<0.67>Sm_<0.33>)(Mn_<0.33>Ti_<0.67>)O_3について、酸素八面体の傾斜によりコントロールされるタイプの構造相転移を、高温TEMにより観察することに成功した。これは、粒子内に多くのナノドメイン構造が観察されたことから、構造相転移の可能性を予想したもので、今後他の希土類にっいても可能性があると思われ、研究を継続する予定である。J.Am.Ceram.Soc.accepted(2006)
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