研究概要 |
様々な分野の研究者が集まり各得意分野を生かして新規酸化物合成および物性発現をめざし、設計から構造、相状態、相転移のメカニズム解析等を複合的手法により遂行し、研究成果を出すことができた。 1.K_2NiF_4型構造を有する希土類マンガナイト酸化物の新相の探求 低酸素分圧下での熱処理により、BaLnMnO_4(Ln=Nd,La)について新相が発現し、Mn^<3+>の一部が還元されたことにより酸素不定比による低対称性の新規結晶構造が発現した。 2.ペロブスカイト型関連構造を有する酸化物の新相の探求 希土類酸化物の新相の合成に成功し、構造解析、電気特性、熱特性などを詳しく議論することができた。中でも(A_<0.67>Ln_<0.33>)(Mn_<0.33>Ti_<0.67>)O_3(A:Ca,Sr,Ln:rare erath)については、CaとSrについてイオン半径、クーロンポテンシャル、Mn-Oの角度、距離等から電気特性と構造の関係を議論した。これにより今後の新酸化物設計において指針を得ることができた。 3.高温測定による相状態のその場観察 高温XRDや高温TEMによるその場観察により、層状構造を有するBaLn_2Mn_2O_7についてはこれまでにない一次相転移を見出すことができた。これは、高温で低対称の構造に相転移をするというもので、岩塩構造とペロブスカイト構造の間のひずみや電子構造に由来する相転移である。また一方で、ABO_3タイプの逐次相転移も新たに見出すことができ、これは酸素八面体の傾斜に基づくものであり、希土類イオン半径、Mn-0角度等との相関性を詳しく議論した。
|