RbC24を合成し合成過程の電気伝導率変化を決定した。室温電気伝導率はグラファイトに比べておよそ20倍となった。この試料表面をポリブタジエン被覆した場合に電気伝導率はまったく変化せず、表面のみをポリブタジエンが覆っていることが推定された。ポリブタジエンで被覆していないRbC24試料をそのまま空気中に放置した場合の電気伝導率は空気と接触するや否や急激に低下して1日放置後には放置前に比べて約20%まで低下した。これに対してポリブタジエン被覆した試料では1日放置後でも元の値の80%に相当する電気伝導率を保っており、表面ポリブタジエン層が空気中安定化に大きく寄与していることが見出された。その後時間経過と共に電気伝導率は徐々に低下してゆく様子が観測されたが1ケ月放置後でも元の値の約50%を保つことが確認された。今後このゆっくりした分解をいかに抑制するかが実用材料への応用にとって重要である。 空気中放置に伴う電気伝導率変化を構造変化との関連で明らかにすることを目的としてX線回折測定を行った。ポリブタジエン被覆していないRbC24の場合には空気と接触後非常に急激にステージ構造が失われ一日放置後ではランダムステージ構造によるピークのみが観測された。これに対してポリブタジエン被覆した場合には空気中放置に伴って徐々にステージ2構造に基づくピーク強度が低下しステージ3、ステージ4といった高ステージ構造に相当するピークとランダムステージ構造に対応するピークが出現し、時間と共にそれらの強度が増加した。このことから電気伝導率減少と構造変化との関連が明らかにされた。
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