研究概要 |
本研究では金属間化合物や鉛に対して安価で製造が簡単な酸化物磁性体による高性能な蓄冷材の開発を目的としており、本年度の研究計画として、RMO_3(R:希土類元素、M:金属元素)のペロブスカイト型酸化物に注目し、蓄冷材の開発を目指してきた。本年度作成した試料はRをPr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Erと固定し、MをMn,Co,Ti,V,Cr,Gaと換えて試料の作成を試みた。HoMnO_3を始めとする幾つかの物質で10K以下の温度領域で比熱が異常増大することを見出した。新たにR及びMを系統的に換えた試料を作成することにより新たな展開を期待した。試料評価として比熱測定と磁化率測定を行い、比熱の振る舞いをPbと比較して比較検討を行った。その結果をまとめると我々が行ったBサイト置換による金属元素のMn,Co,Ti,V,Cr,Gaにより磁化の振舞いや比熱の性質は大きく異なることが分かった。一方、Aサイト置換による影響は5K付近ではGd、Tb、Hoの比熱がPbに比べて大きく、今後さらなる研究が必要である。さらに本年度はGM冷凍機を利用して、作成した試料を冷凍機に取り付け実用試験として冷却特性の試験を行った。これにより今後、有望な試料の実用試験が可能となった。これらの結果は、低温工学会で2回発表し、クライオジェニクス誌に論文を投稿した。
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